特定公正証書に係る制限

2010年6月に完全施行された、改正貸金業法では、
・上限金利の引き下げ
・総量規制の導入
というのが目玉ポイントでした。
このことは有名なので、多くの方がご存知だと思います。
ただし、あまり知られていませんが、この他にも消費者に有利になるよう改正された項目がいくつかあります。
ここではそれらの項目について解説してゆきたいと思います。
≪特定公正証書に係る制限≫
【公正証書とは】
皆さんは、「公正証書」ってご存知ですか。
ざっくり言えば、「公証人役場で作成した文章や契約書」のことで、かつてはかなり簡単に作成することが出来ました。
簡単な割に、公正証書は、判決と同じ効力がある、かなり強い書面なので、昔の消費者金融では、この「公正証書」が、債権保全の手段としてよく使用されていました。
また公正証書の中でも、「債務不履行の場合に直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書」のことを特に「特定公正証書」といいます。
消費者金融会社で作成する公正証書のほとんどが「特定公正証書」でした。
【本来、判決をとるまでの道のりは長い!】
「判決と同じ効力がある契約」というのは、金融業者にとってはかなり有利です。
通常、消費者金融会社が債務不履行で強制執行をする場合は、
①裁判所に貸金訴訟申立
↓
②裁判所から債務者へ訴状送達
↓
③口頭弁論
↓
④判決(債務名義)確定
↓
⑤強制執行申立
↓
⑥強制執行
とかなり長い道のりを経ることになります。
しかも②の訴状が、債務者に不在や受け取り拒否などで送達できない場合は、さらに時間を要することとなります。
そこで、かつて多くの消費者金融会社は、高額貸付をする際には、契約時に公正証書の作成していました。
しかし、最初から公正証書があれば、これらの手順を全てすっ飛ばして、差押えが可能になります。
このことを利用して、一部の悪質な消費者金融会社は、債務者にロクな説明もせずに、自社の社員を債務者の代理人として委任状を取って、自社に都合のいい内容で公正証書の作成を嘱託していました。
その結果、出来上がる公正証書は借主にとって非常に不利益なものとなり、予期せぬトラブルを招くことも多く見受けられていました。
【いまどきの公正証書は】
しかし現在の貸金業法では、この「特定公正証書」の作成に厳しく制限が設けられるようになりました。
具体的には以下のようになっています。
(制限その1)
消費者金融会社は、特定公正証書の作成に関して債務者から「代理人に委託することを証する委任状」を取得してはならなくなった。
(制限その2)
消費者金融会社は、特定公正証書の作成に関して債務者から代理人に委託する場合には、代理人の選任に関し推薦その他これに類する関与をしてはならないことになった。
この制限によって現在、特定公正証書を作成をする方法は、
①債権者と債務者がそろって公証人役場に出向く。
②債務者が自ら選任した、消費者金融会社とは関係のない代理人を通じて作成を嘱託してもらう。
のいずれかになり、債務者の予期せぬ不利益な特定公正証書を作成されることは無くなりました。
また、実際、顧客と一緒に公証役場に出向くのは、手間がかかり過ぎるので、現在、消費者金融の現場では、「特定公正証書」を作成することはほとんどなくなりました。
公正証書は、
・公正証書作成の嘱託委任状
・印鑑証明書
があれば、簡単に作成できたので、債権保全の手段として、それらを取得しておくことがよく行われていました。
しかし、法改正後は、この手段を取ることはほとんどなくなったようです。
・公正証書作成の嘱託委任状
・印鑑証明書
があれば、簡単に作成できたので、債権保全の手段として、それらを取得しておくことがよく行われていました。
しかし、法改正後は、この手段を取ることはほとんどなくなったようです。
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