銀行カードローン拡大の問題点

銀行カードローン拡大の問題点


日銀の統計によれば、銀行カードローンの残高が、貸金業者の消費者向け無担保貸付残高を上回ったとのことです。
(2015年3月末現在で、銀行カードローンは4.6兆円、貸金業者消費者向け無担保は4兆円)
また、2015年8月16日付のサンデー毎日でも、「貸金業者上回る伸びに懸念も、規制枠外の銀行カードローン」というタイトルの記事が掲載されました。
このことは、平成22年の改正貸金業法施行に伴い導入された「総量規制」の影響が大きいと言えます。


【総量規制の適用があるのは貸金業者だけ】


いわゆる「銀行カードローン」は、貸金業法の範疇になく、総量規制の適用はありません。
(銀行法適用になります)
その根本には、「そもそも消費者金融会社などの貸金業者による過剰な貸し付けが多重債務者を生み出し社会問題化させたが、銀行のカードローンは審査も厳しいので、多重債務者問題とは直径しない」という考えがあるようです。
キャッシング商品の中身はほぼ同じであるのに、理不尽であり矛盾しているといわざるをえません。


【銀行の貸込みで新たな多重債務問題発生の可能性も有り】


銀行にとって、法人向けの貸出しに苦戦する中、個人消費者はかなり魅力的な市場と言えます。しかし、従来は、個人消費者向け無担保融資は、消費者金融会社など貸金業者が大きな幅をきかせている状況でした。
これが、改正貸金業法施行を境に、消費者金融会社は、この市場から大幅に退く形になりました。
そこに、総量規制の適用がない、銀行が参入するという図式です。
しかも、現在は、大半の貸金業者が銀行の資本傘下に入っていて、銀行カードローンの保証業務を行っている状況です。そのような中、銀行カードローンと貸金業者の貸し付けを名寄せすれば、個人の貸付残高が総量規制を超える債務者もでてくる懸念が生じています。
銀行も加わった、新たな多重債務者問題が発生しないように、慎重な対応を望みます。
(一部記事、月刊消費者信用2015年10月号より抜粋)

※追記
平成28年12月14日の日本経済新聞記事によると、「金融庁は消費者ローンを巡る銀行融資を問題視しており、銀行による過剰な貸し出しや過度な宣伝がないか調査を始めた。」とのことです。
「総量規制」の導入によって、「多重債務者」は、平成18年度末で171万人であったものが、平成28年10月末で9万人と、大幅に減少しました。その一方、法改正後は、総量規制の適用がない、「銀行カードローン」が増加しており、平成28年10月12日には、日本弁護士連合会によって、銀行カードローンによる過剰貸付防止を求める意見書が金融庁に提出されています。
また、平成28年12月13日に金融庁が開いた多重債務問題の有識者会議では、委員から「銀行によるローンが重なっても危険な状況になる」と過剰な貸出しを懸念する指摘もありました。
このような流れを受けて、金融庁は銀行によるカードローンの融資実態の調査を開始し、融資の審査手法や、行き過ぎた宣伝がないかなどを調べているとのことです。


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